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最近耳にする格安SIMの正体とは何でしょう

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最近、格安SIMという言葉を耳にすることはありませんか。お友達が自慢気に、

「俺は携帯と格安SIM刺したスマホの2台持ちだから、月々の料金は2000円くらいだぜ」なんていったりします。

はて?自分はスマホ一台しか持ってないけど、月々6000円くらいかかっている通信料金が、なんで2台になると2000円くらいになってしまうんだろう?一体全体どういうことなの?なんて思ったりしませんか?

世の中不条理なことがあるものですよね。でもこれ、段階を踏んでお勉強すれば誰にもわかることなんです。今回は格安SIMに関する知識を深めていくことにしましょう。

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photo credit: warrenski via photopin cc

■そもそもSIMってなんなんだ!

「SIM」もしくは「SIMカード」って言葉、よく聞きますよね。でも、あんまり見かけません。いったいどこに存在するんでしょうか。ご存知ですか?

SIMカード(Subscriber Identity Module card)とは、携帯電話会社など、電気通信事業者が発行するICカードをいいます。SIMカードには、契約者情報が記録されていて、皆さんの携帯電話やスマートフォンなどにも挿さっているはずです。

携帯電話やスマートフォンには、固有の電話番号が付与されているはずです。実はこの電話番号や契約者情報は、携帯電話やスマートフォンではなく、SIMカードに記録された情報です。つまり、SIMカードを挿すことにより、そのデバイスが、あなたの電話番号に対応する携帯電話やスマートフォンとして機能しているのです。

ちなみに現在の携帯電話やスマートフォンの多くは、挿すことのできるSIMカードを限定しています。つまり、ドコモであればドコモ発行のSIMカード、auであればau発行のSIMカード、softbankであればsoftbank発行のSIMカードしか使うことができないのです。

しかしこのロック機能は、キャリアの販売店に持ち込んで手数料を支払うことで解除することができます。これを「SIMロック解除」などというわけです。皆さんも耳にされたこと、おありかと思います。

■SIMが格安になる仕組みとは

SIMの正体が判明したところで、次に格安SIMについて学んでいくことにしましょう。先の説明の通り、SIMは携帯電話会社によって提供されています。よって、ドコモやau、softbankなどと契約してSIMを得ていれば、それらの電話会社で規定された通信料が請求されることになります。

しかし実は、格安SIMとは、これら大手携帯電話会社以外の安い料金体系でサービス提供をしている会社によって発行されたSIMカードをいいます。では、なぜこれらのSIMカードは安価な料金体系でモバイルデータ通信サービスを提供できるのでしょうか。これを知るためには、MVNOの存在を知る必要があります。

MVNO(Mobile Virtual Network Operator)とは、仮想移動体通信事業者とも呼ばれますが、携帯電話会社から無線通信インフラを借り受けてサービスを提供する業者です。

もともと携帯電話サービスを行うには、無線通信サービスの免許を取得する必要がありますが、電波域には限りがあるため、誰もが免許を取得できるわけではありません。しかしこれでは独占的な市場となってしまうことから、免許を受けた事業者は、その設備を第三者に貸し出すことが許されています。

MVNOは、これを借り受けることでサービスを提供しているわけですが、もともとインフラ構築の必要がないため、携帯電話会社のように膨大な設備投資は必要ありませんよね。だから安価な通信料を設定することができるわけです。

■安いけど制約もある格安SIM

格安SIMを使えば、通信料を月1000円程度にすることが可能になります。現在大手携帯電話会社のパケット定額サービスはおおよそ5000円前後で提供されているので、それから比べればかなり安価ですよね。でも、それなりの制約はかかります。

たとえば、月1000円程度でLTEは使えるものの、1日の通信量が30MBまでで、それを超えると200kbpsに速度が制限されるとか、月の通信量が1GBを超えるとそれ以降は月末まで128kbpsに制限されるとか、無制限で使えるけど250kbpsだとかね。

MVNOでは、借り受けた設備を多くのユーザでシェアしてもらう必要があるので、このような制約をかけるわけです。まあ、当然といえば当然ですよね。

さて、では通信速度が制約されると、どのようなデメリットが生じるでしょうか。LTEで使える通信量を超えた場合、速度が制限され、たとえば200kbpsとなると、まず動画を見ることは難しくなります。また、アプリのダウンロードなどもちょっと無理かあります。

「なんだ、そんなデメリットがあるのか?」

と、あなたは思われますか? でも、アプリのダウンロードは、wi-fiのアクセスポイントか、もしくは自宅に帰ってから行えばいいわけですし、遅いとはいえ、SNSやメールのやり取り、2chなどテキストベースの情報のやり取りにはまったく問題なく使えます。また、通常のwebサイトであれば、少々もたつく程度で、閲覧は問題なくできます。

つまり、用途の問題なわけで、そんなにヘビーに使わないというのであれば、十分に使えるサービスです。これで月3?4000円程度の通信料を削減できるのなら、考える価値は十分にあるとは思いませんか?

■モバイルルータやテザリングで複数台をネット接続

格安SIMは、スマートフォンやモバイルルータなどに刺して使うことになります。モバイルルータとは、wi-fi機能を持った持ち運びできるルーターのことで、モバイルルータに格安SIMを刺して使えば、お持ちのスマートフォンのみならず、タブレットやノートPCを、wi-fiでモバイルルータに接続して、インターネット接続を、どこでも場所を選ばずに使うことができるようになります。

また、最近のスマートフォンではデザリング機能があるため、スマートフォンをモバイルルータとして使うこともできます。便利ですよね。

■最近の格安SIMには通話サービス付きのものも

当初リリースされた格安SIMは、データ通信サービスに限定したものに限られていました。つまり通話はできなかったわけです。しかしその後、通話サービス付きのものもリリースされるようになっています。

これであれば、現在の大手携帯電話会社から、電話番号をナンバーポータビリティで移行して、格安SIMで電話とインターネットを利用することができます。通話料金はさほど安くはありませんが、パケット定額料金を大幅に圧縮できるので、スマートフォン一台のみのユーザで、なおかつ、ネットも電話も、そんなには使わないという方であれば、かなり通信料金を圧縮することができます。

■携帯とスマートフォン2台持ちの意味とは

さて、最後に携帯とスマートフォン2台持ちのお友達、どうして2台持ちにしてるのかって部分の説明をしておくことにしましょう。これにはいくつかのメリットがあります。

最近では誰もが持つようになったスマートフォンは、いわばPCの機能を有していることから、何でもできる利便性がありますよね。でも、デメリットもあります。それは、バッテリー駆動時間が短いという点です。日々充電していないと切れちゃいますものね。まあ、最近では大容量のモバイルバッテリーも安価で登場してきているのでこれを使えば問題はないんですが、それでも面倒ではあります。

一方で携帯電話のバッテリー駆動時間はとても長いですよね。ものによっては平気で1週間とか連続待機できたりします。そこで、携帯電話は大手携帯電話会社の通話サービスを使います。例えばドコモのFOMAによる通話サービスの最安基本料金は、料金改定後であっても、980円で利用できますよね。ですから、あまり電話をかけない、むしろ受けるほうが多いというのであれば、これでもいいわけです。ちなみに、ネット利用は携帯ではしません。

そしてもう一台のスマートフォン。スマホは、現在は中古でも入手できますし、それまで持っていたスマホでもOKです。これに格安SIMを契約して刺して使います。通信料金は最安で月490円です。まあ、通信速度は遅いんですが、それでもメールの確認やSNSなどは問題なくできます。また、動画とか大容量のコンテンツのやり取り以外なら、結構使えるので問題ありません。

なお、格安SIM提供業者の多くは、ドコモから回線環境を借り受けているので、スマホがドコモであればそのまま使えます。ドコモ以外のスマホの場合は、先に説明したSIMロック解除をする必要があります。また、SIMフリーといって、どのSIMでもOKのスマートフォンを用意して使うという手もあります。ただし、SIMフリーデバイスはちょっと高めです。

さて、これで2台持ちとなったわけですが、通信料金は合計で1500円以下ということになります。これで電話番号を持ち、しかもインターネットの利用がモバイル環境でも整うことになったわけです。

いかがでしょうか。お得でしょ?