仮想ネットワークとIaaSによるハイブリッドクラウド?
今回のお題、「仮想ネットワークとIaaSによるハイブリッドクラウド」なんですけど、実はこれ、書く前から選択ミスだと後悔したりしてます。だって、意味わかります? わかる人にはこれだけでわかるんですけど、わからない人にはもはや呪文ですものね。
ということで、説明が大変そうなので後悔しているわけです。そもそも知らない人は知らなくてもいいんじゃないかと思えたり。でも、知っているとちょっと自慢にはなります。なぜって、今話題の、そして今後も注目されるクラウドコンピューティングの今後を見据えた知識なわけなので。
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そもそもクラウドって何でしょうか
「クラウドコンピューティング」という言葉、最近よく耳にしませんか。単に「クラウド」と呼んだりもしますよね。「例のデータ、クラウドに上げといて」とか、「我社もクラウドを導入すべきだ」と、言い切れちゃう人はいいのですが、わからないと何を言っているのやら。
クラウドコンピューティング(cloud computing)とは、もともと自分のPCなどで利用したり管理したりしていたソフトウェアやデータを、インターネットなどを介して利用する方式をいいます。
ちなみにクラウドって雲のことですよね。昔、インターネットを図で表現する際、雲に例えた時期がありまして、そんなことから、インターネット→雲→クラウドということになったわけです。そしてこのクラウド、実はとっても便利なんです。
たとえば、文書作成の際に、皆さんは文書作成ソフトを使ったりすると思います。これまではこれを使う場合、皆さんのPC上にこのソフトをインストールする必要があったはずです。でも、クラウドコンピューティングにおいては、ソフト自体もインターネット上にあって、そこにアクセスすることで、サービスとして利用することになります。
「インターネット上にソフトがあると、何か便利になるわけ?」
はい。とっても便利になります。ソフトウェアやデータがインターネット上にあると、PC側にはそのソフトをインストールする必要がないからです。でもこれ、実はとっても高い利便性を実現することに気づかれるでしょうか。
たとえばですが、今あなたがPCにインストールして日々使うソフトウェアがすべてインターネット上にあったとすると、あなたのPC自体には、何もソフトウェアがいらず、単にクラウドにアクセスする環境さえあれば良いことになります。また、データ自体もクラウド側に保存できたなら、あなたは、どのPC環境からでも、インターネットにアクセスする環境さえあれば、すべての作業をすることができるようになるはずです。
メリットはまだあります。例えば作成データを社内の人間がアクセスできる共有領域においておけば、即座に社会で共有することができるようになりますよね。たとえあなたがスマホしかもっていなかったとしてもです。
さらにクラウド側にすべてがあれば、あなたは仕事として使うPCのスペックやメンテナンス、OS管理などに気を使う必要はありませんよね。なんせすべてがクラウド側にあるわけですから(まあ、個々のPCの管理責任はあるかもしれませんけど)。これって便利だとは思いませんか?
とっても進化しているクラウドコンピューティング
ちなみに、自社ネットワークにおいて、社員が利用するためのクラウドをプライベートクラウド(private cloud)、インターネットを介して誰もが利用できるクラウドをパブリッククラウド(private cloud)と呼びます。
企業では、このふたつをうまく使い分けることで、固定費を削減しつつ仕事の生産性をあげようとしたりします。
たとえば、個人情報や機密情報など、外部に漏れては困る情報は、社内サーバ群によって構築したプライベートクラウドで運用することが望ましいわけですが、一方で多くのユーザに対して提供したいサービスや、一時的に必要となるサービスについては、むしろパブリッククラウドを用いる必要があります。
また、システムによっては、プライベートクラウドとパブリッククラウドの双方を組み合わせて使う必要がある場合もあります。これをハイブリッドクラウド(hybrid cloud)と呼びます。実は、ハイブリッドクラウドが実現すると、結構便利なことがさらに起こるのです。
たとえば企業がプライベートクラウドを使って業務の効率化を図るとします。クラウドと言っても実態はサーバー群ですから、多くの人が一度に使うと、時にサーバー群が悲鳴をあげるかもしれませんよね。でも、企業のサーバー群はその都度、増やしたり減らしたりは通常できません。ところがこれでは、パンク状態になることもあり、ちょっとまずいとは思いませんか?
そこで、ちょっとまずそうな状況になった際には、プライベートクラウドの一部を、パブリッククライドに自動で移行できるようにできたとします。すると、自社のリソースが足りなくなった一時期にのみ、足りない部分を外に出せれば社内のプライベートクラウドのリソースが足りなくなることがなくなります。つまり、常に安定した可動ができるわけです。ハイブリッドクラウドは、そんなことができるわけです(まあ、ここでの説明は一例のみですが)。
ハイブリッドクラウドを実現する技術とは
さて、では社内のリソースを一時的にも外部に出したり、引っ込めたりなんてこと、一体全体どうやって実現しているんでしょうか。これ、ちょっと難しくなるので、詳細な説明は避けますが、ここでは、最も重要となるIaaSと仮想ネットワークについて簡単に説明することにしましょう。
プライベートクラウドを実現するためには、サーバ群を持つ必要があります。これはデータセンタなどにラックを借りて、サーバや機材を導入、回線を確保すると共に、ネットワークやOS、開発環境を構築、サービスをインストールしてと、まあ、担当者でなければわからない多大な作業があるわけです。
でも、この環境自体をパックで貸してくれるサービスがあったらどうでしょう。借り手はその日から、この出来上がった環境を、インターネットを介して使えるようになります。ネット経由ですから、この環境が地球のどこにあっても問題はありませんし、メンテナンスの必要もありません。便利でしょ? これをIaaS(Infrastructure as a Service)といいます。IaaSはHaaS(Hardware as a Service)と呼ばれる場合もあります。
IaaSを利用すれば、このインフラにクラウド環境を構築すればよいわけですから、不要な心配はしなくて済みます。と、いうことで、ハイブリッドクラウドには、IaaSが使われるわけです。
さて次です。
先の出したり引っ込めたりの具現化をご理解いただくためには、もう一つ、仮想化という概念を知っておいていただく必要があります。実は仮想化にもさまざまな技術があるのですが、ここでは仮想ネットワークについて簡単に。
仮想ネットワークとは、サーバー内部に構築された仮想マシン同士を接続するための技術と言えます。ちなみに現在ではサーバー一台の中に、あたかも何台ものコンピューターが存在するかのような環境を構築することができます。そしてこの仮想マシン同士を、自由に相互接続する技術が仮想ネットワークです。
なんのことやら。と思われるかもしれませんが、これがとっても便利なんです。
たとえば、クラウドコンピューティングにおいて、複数のサーバー群が必要とされたとします。仮にサーバーAがサーバーBと連携をしていたとしましょう。ところが何らかの要因でサーバーBに負荷が掛かり過ぎたので、どうしましょって状態になったとします。
仮想ネットワークでは、サーバーBのアドレスを、瞬時にサーバーCに簡単に切り替えることができます。サーバーAは、それ以降、サーバーCを相手にやり取りをすることになりますが、サーバーCをサーバーBとして認識します。つまり切り替わったことを意識することがないわけです。
仮想ネットワーク技術が進化したことで、先のプライベートクラウドとパブリッククライドは、融合や分割など、自由にできるようになりました。パブリッククラウド上で実行されている仮想マシンをプライベートクラウド上に移行させたり、その逆を行ったりすることができるわけです。
そしてこれを実現するソフトウェアやその機能こそが、ハイブリッドクラウドであるわけです。